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15歳からの株式投資 (6)
2011-06-14 Tue 19:40
15歳からの株式投資 目次 > ②「株式投資」とは何か > 投資と投機(ギャンブル)の違い

『15歳からの株式投資』


②「株式投資」とは何か
  ◆投資と投機(ギャンブル)の違い



前回のおさらいをすると、バリュー株式投資の祖、米国経済学者のベンジャミン・グレアム氏曰く

投資とは「詳細な分析に基づいたものであり、元本の安全性を守りつつ、かつ適正な収益を得るような行動」


ということで、キーワードは「詳細な分析」「元本の安全性」「適正な収益」です。これら3つ、を考慮しない行為は「投機(ギャンブル)」ということです。ですから、「株式投資」で言えば、一見すると「企業の株式を買う」という行為は一緒なのですが、その買うという行為の前提が、「しっかり企業を分析した上で元本の安全性をまもりつつ適正な収益を得る行為」なのか、それとも、「企業分析せず、値上がり値下がりにかけ、元本の安全以上の過大なリスクをとり、資金を一気に増やすことに重点を置く行為」なのかの違いということになります。なので「投資」も「投機(ギャンブル)」も短期間にみると判断しにくいものですが、全く違う行為ということです。表面上は判断しにくいので世間的には投資も投機もごちゃごちゃになって「投資なんてギャンブルだ怪しからん!」という話になるわけです。

ちなみに、山崎和邦さんは 『投機学入門』(講談社アルファ文庫)で「投機とは、機というある一点において、不確かな情報のもとで的確な判断をなし、合理的に全知全能を集約させる意欲的、情熱的行為」とおっしゃっていて、投機を肯定的に表現されている方もいらっしゃいます。


    ◇投機(ギャンブル)を勧める人たちは誰か

最近は一部の市場関係者や株式評論家が「日本株に長期投資はあわない。短期投資こそ最も適したやり方だ」と言う事があります。市場関係者や株式評論家自身が短期売買を奨励しているのです。なぜそうするかというと、短期売買を繰り返してくれれば証券会社は手数料がたくさん入りますし、短期売買によって激しい値動きがつくられると目立つ銘柄を報道できるのでテレビやラジオ番組にとっては都合がよいのです(すべての銘柄がほとんど動かないと番組自体がつまらなくなる)。したがって、その証券会社お抱えの一部の市場関係者やテレビやラジオ番組お抱えの一部の株式評論家などが、あたかも株式投資は短期売買が適したやり方であるかのように短期売買を勧める現状があります。

しかし彼らのいうことに乗ってはいけないと思っています。確かに1989年のバブルのようなときに買って20年以上も持ち続けるというのは賢明なことではありません。しかし後述するように世界最大の賢明なる投資家ウォーレンバフェットが行うようなバリュー株式による中長期投資はバブルが崩壊し暴落した時や一時的な暴落で皆が売っている時に買う方法なので、彼らの行う方法とは全く逆の行為をするのです。ですから、短期売買を勧める人たちの主張することは当てはまりません。


    ◇投機(ギャンブル)を勧める人たちの思惑

短期売買を行う人が勧める裏にはある種の思惑があります。それはテーマや季節性によって上昇する銘柄を推薦する前に彼ら自身が買っている可能性があるということです。新聞やテレビ局のような未公開情報を有利に取得できる人たちはインサイダー(※)となる可能性があるので株式を買う事が厳しく規制されています(それでも数年に一度くらいに逮○者が出たりします)。ですが、株式情報誌や株式評論家などは特別に情報を知りうる有利な立場でもないので自分達でテーマを作る事が出来るのです。

例えば2009年初頭には電気自動車が流行るから電池関連株(特にリチウムイオン電池)が伸びるというような特集が組まれました。そうしてリチウムイオン電池などを作る会社の株式が軒並み上昇しました。ところが実際は電気自動車は一気に普及するわけではなく、何年もかけながら徐々に普及していくのでリチウムイオン電池の会社自体の利益は急激には伸びないのです。ところがマネー雑誌やテレビやラジオ番組で特集を組んで盛んに報じたので株価は100年先とか150年先の利益を織り込むくらいに上昇しました。

6674 ジーエス・ユアサ コーポレーション

当然そのような株価が長期間にわたり正当化されるわけはなく、誰かが売り始めたとたん一気に暴落しました。ジーエス・ユアサの場合は2009年3月期より2011年3月期は1株あたりの利益が2.46倍になっているにも拘らず、株価は2009年の1/2以下にとどまっています。2009年は明らかな株価の暴走でしょう。ブームを煽って一儲けした人たちもいたはずです。これは投資ではなくギャンブル以外の何ものでもありません。法律で厳格に規制を受けてない一部の株式評論家という人たちは前々から買っていて、特集を組んで株価が高騰した頃には高く売り抜けているということも考えられなくもないのです。こうやって最後に高値でつかむのは情報にだまされた人たちです

また、2010年から2011年にかけて市場で「金(Gold)」や「銀」の特集が組まれるようなこともありました。アメリカがQE2と言う政策(FRB(連邦準備制度理事会)が行った量的金融緩和策で約6000億ドルを2010年11月~2011年6月末まで実施)によりドルを大量に市場に放出したことや欧州の債務問題でユーロ通貨の信認が揺らいだことにより実物資産である金に資金が流れました。確かにそういう側面はあるので金価格が上昇するのは理解できます。しかしこれからは金の時代だというように盛んに報道されたり、新聞や雑誌で金投資のセミナー広告などがたくさん掲載されました。実はこのときにジョージソロスのような優れた相場観を持つ人々は秘かに売り抜けていたのでした。こうして様々なメディア媒体の煽り行為によって連日金や銀価格は高値を更新して行って、誰かが売り抜けているというような情報が市場関係者の間に流れた途端に暴落するという事がありました。この場合も最終的に高値でつかむのは情報にだまされた人たちです。


このように、株式市場に流れるテーマなどと言うのは企業の業績とはほとんど関係がありません。「電気自動車・リチウムイオン電池・太陽光パネル・風力発電・スマートグリット」など2009年ころ盛んに言われましたが、これらの製品と言うのは季節性テーマのようにあっという間にブームになって終わるものではなく、もっと長い時間をかけて市場が形成され、商品が作られ、普及することによってはじめて企業が業績をあげていくようなものであるはずです。5年とか10年とかかけて取り組まれるテーマであるはずです。ですが一部の雑誌やテレビやラジオで取り上げられるテーマなどと言うのは数ヶ月でコロコロ代わりそのたびに特集を組んでは株価に影響を与え暴騰と暴落を繰り返しています。

このように市場に流れる情報には必ず裏があると思ってもいいくらいで初心者はだまされやすいので注意したほうがよいでしょう。数ヶ月でコロコロ代わるテーマなどと言うのはまさに投機行為(ギャンブル)です。これから投資をしようかと考えている若い皆さんはこれらの情報に惑わされて短期売買のようなギャンブルに手を染めないようにしましょう。皆が売り始めたら自分も売ればいいと考えるのは安易な考え方なのです。買う人がいなくなり売る人だけになるということは値がつかないまま暴落すると言うことです。



まとめ
・投資とは「詳細な分析に基づいたものであり、元本の安全性を守りつつ、かつ適正な収益を得るような行動」
・投機(ギャンブル)を勧める人たちの思惑を探ろう
・市場に流れる情報には必ず裏があると思ってもいい
・好都合な情報が流れてきたら危ないと思ったほうがいい



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※インサイダー取引とは

重要事実に関する未公開情報を保有している立場の人や、知りうる立場の人が、情報が公開される前に、自らの利益を図る目的で株式などの有価証券の売買を行なう行為。金融証券取引法166条で禁止されています。


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